大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)91 判決

主 文

原判決を破毀する。

本件を東京高等裁判所に差戻す。

理 由

弁護人中島清夫の上告趣意は、末尾に添えた書面記載の通りである。

記録を調べてみると、原審第二回公判において弁護人がB及びAの両名を証人と

して申請したのに対して、原審はこの請求につき採否決定を留保したまゝ、右両名

を証人として喚問することもなく、右の請求を却下する旨の決定をもしないで終結

している。かような違法が上告の理由となること所論の通りである。

而して原判決はA作成にかゝる買取事実始末書及び証拠物件提出始末書中の記載

を判示事実を認定する証拠として引用していること所論の通りである。原判示のよ

うな内容の買取事実始末書及び証拠物件提出始末書は、刑訴応急措置法第一二条第

一項に規定する証人その他の者の供述を録取した書類に代わるべき書類に当ること

はいうまでもないところである。そして、同条にいう「被告人の請求」には弁護人

の請求をも含むことは、すでに当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第八四号同二三

年四月二一日大法廷判決)によつて明らかである。しかるに原審は、前記各始末書

の作成者であるAに対し前記の如く弁護人から其請求があつたに拘わらず公判期日

において訊問する機会を被告人に与えないで右各始末書を証拠としたのであるから、

原判決は同条第一項本文に違反するものと言わなければならない。しかも、原審は

右弁護人の請求に対し何等の決定をしなかつたので右法条但書によつて却下したの

でもないこと記録により明であるから論旨は理由があり、原判決はこの点において

も破毀を免がれない。

よつて、その他の点に関する論旨については判断を省略し、旧刑訴第四四七条第

四四八条ノ二に従い、主文の通り判決する。

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以上は当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

検察官 橋本乾三関与

昭和二五年五月三〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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